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2009年1月

デヴィッド・ロバーツ/Midnight Rendezvous

 新年、漸く2弾目ですが、今回はとびきりのラブソングを紹介します。

 このブログでも、名前を挙げたことがありますが、AORの伝説的なアーティストとなっているデヴィッド・ロバーツの「Midnight Rendezvous」です。最近では、26年ぶりにニューアルバム「BETTER LATE THAN NEVER」と未発表曲集「MISSING YEARS」をリリースし、昨年には初来日ライブを行いました。今回、紹介する名曲が収められたアルバムCD「ALL DRESSED UP」(1982)は、一時、マニアの間で30,000円もの高値が付いたほどの幻の名盤と呼ばれていましたが、確かにデヴィッド・ロバーツ自身のポップセンスと、バックミュージシャンのメンツからすれば、名盤に値する出来でしょう。

 まずは、スティーヴ・ルカサー、ジェフ・ポーカロ、マイク・ポーカロの言わずと知れたTOTOのメンバーに、デヴィッド・フォスター、ジェイ・グレイドン、ビル・チャンプリン、そしてプロデュースにグレッグ・マティスンと、AORミュージシャンの中でもトップクラスが参加しています。録音当時、若干23歳の若さでこれだけのメンバーを揃えられたのだから、彼のセンスの良さと周りの期待はかなりのものだったのでしょう。

 しかしながら、このアルバムはAORにはありがちのワン・アンド・オンリーの一つになってしまいました。それが、昨年に26年ぶりの復活ということで、AORファンにとっては重大ニュースだったのではないでしょうか。

 ところで、アルバム「ALL DRESSED UP」ですが、確かに内容はすごいです。全編、若さから来る弾ける元気なポップスが多いのですが、中には渋い感じの「Wrong Side Of The Tracks」やニールセン/ピアソンに提供した名曲「Too Good To Last」があったりと、十分玄人受けする内容です。ライナーノーツによれば、彼の好んで聴いていた音楽がCS&Nやスティーリーダンだったそうですから、目指すところは、まさにAOR路線だったのでしょう。

 今回、紹介する名曲「Midnight Rendezvous」は、23歳が作ったとは思えないほど、甘いムードを持ったラブソングです。夜空を連想させるイントロから入り、きれいなメロディーへと続き、そして覚えやすいサビに繋がり、一気に盛り上がります。曲の構成はラブソングの王道を行ってます。ブリッジのサックスも、クリストファー・クロスの「ニューヨークシティ・セレナーデ」のように、とてもムードがあります。この若さで、こんなに美しいラブソングを作るなんて驚きです。

 その後、彼の曲をカバーするアーティストも時にはあったようですが、本人自体は本当にこの1枚で姿を消してしまいました。あと2~3枚はリリース出来たのではと、AORファンとして実にもったいなく感じます。

 ラブソングの決定版といっても過言ではない、今回の名曲。このアルバムのもう1つのスローナンバー「Another World」と併せて、じっくり聴いてみて下さい。AORって、本当にいいな~、と必ずや実感しますよ。(Night-Plane)

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エイドリアン・ガーヴィッツ/Untouchable And Free

 2009年も引き続き大人の素晴らしいサウンドをお届けする名曲紹介ですが、新年最初のAOR名曲は、景気良く、アップテンポな1曲を紹介します。

 AORアーティストとしては、良く知られている一人、エイドリアン・ガーヴィッツの「Untouchable And Free」は、1979年にリリースされた「SWEET VENDETTA(甘い復讐)」の1曲目を飾る乗りの良いAORです。フリーウェイを恋の行方になぞらえて展開する歌詞の世界は、スリリングで当時のディスコ・チックなサウンドとマッチして、オープニング曲としては上出来です。ドライブ用セレクションの1曲に入れておけば、スローナンバー曲の中でも十分にアクセントになる曲です。

 エイドリアン・ガーヴィッツと言えば、ベイカー・ガーヴィッツ・アーミーのメンバーとしての活動が彼のキャリアの中でも有名ですが、商業的にはあまりパッとせず、AORアルバムとは言い難い3枚のアルバムを残しています。ところが、彼のソロ名義になったとたんに、それまでのハード路線から一気にテンポの良い、甘いラブソング中心の傾向が強くなりました。「SWEET VENDETTA」も、「Love Space」「The Way I Feel」などのようなディスコソウル的な曲があるものの、「Put A Little Love」「This Is Endless」「One More Time」は完全にAORファンの心をつかむほどの魅力ある優しいナンバーです。また、最後に「Untouchable And Free」のイントロのリプライズがあり、アルバム全体としての細かいこだわりが伺えます。

 ミュージシャンには、おなじみのTOTOのメンツに、エド・グリーンやフレッド・タケット、チャック・フィンドレー、ジェリー・ヘイ、おまけにジョー・ポーカロにマーティ・ペイチのTOTOの親父コンビまで参加した豪華なバックアップ陣です。当時、このアルバムを手にした私は、バックミュージシャンの顔ぶれだけで購入し、それ以来AOR愛聴盤の1枚になっています。

 エイドリアン・ガーヴィッツは、その後1980年に「IL ASSASSINO」をリリースします。前作のディスコソウル的な雰囲気を残しつつも、よりロック色を強め、インストゥルメンタルの曲を盛り込み、ドラマティックなアルバム作りを意識していますが、AOR名盤に入れるには、やや狙いすぎ感があります。それよりは、1982年の「CLASSIC」の方が良質な作品を多く含んでいます。全編、音作りに厚みはありませんが、素朴さと曲の良さなどAORとして純粋に楽しめる出来です。また、1995年のインストゥルメンタル集「ACOUSTIC HEART」も彼のギターを中心に安心して聴ける1枚です。

 年明け1発目の名曲「Untouchable And Free」。アルバムタイトルの「甘い復讐」が表現するように、甘くも危険な香りがするAOR名曲から新年をスタートしてみませんか。(Night-Plane)

 

 

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