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2009年7月

ラス・バラード/Treat Her Right

 今回のAOR名曲は、久しぶりにベタベタなバラードを紹介します。この手のベタなバラードを得意とするのは、イギリスのロックバンド「アージェント」のギタリスト兼ヴォーカルのラス・バラードです。長髪にサングラスで、一見うさんくさく、「みうらじゅん」かと思ってしまうほど、AORとはかけ離れた風貌ですが、その才能はなかなかのもので、ポップセンスは抜群です。

 もともとアージェント時代からポップ的なセンスは持っていたようですが、1974年のソロアルバム「RUSS BALLARD」で一気に開花したようです。確かにファーストでは、シャウト的ロックも聴かれますが、今回の名曲を収録したサードアルバム「AT THE THIRD STROKE」(1978)においては、ブリティッシュ・ロックというよりも、完全にアメリカンロックしています。

 それもそのはずで、バックを固めているのはAOR御用達のミュージシャンばかりです。今回の名曲に関わっているのは、デヴィッド・フォスター、デヴィッド・ペイチ、デヴィッド・ハンゲイト、トム・ケリー、マイク・ベアードなどの一流の面々で、その他の曲でも、ジェフ・ポーカロ、マイク・ポーカロ、フレッド・タケット、リー・スカラー、トム・スコット、キース・オルセンなどが加わり、よくぞここまで豪華な面々を揃えたと感激するほどです。

 更に、楽曲の出来は、どれも素晴らしく、特に「Treat Her Right」は、フラれた男が次の彼氏に、元の彼女を幸せにしてほしいと望むベタなラブソングですが、しみじみとした雰囲気がとても良いです。また、AOR的な渋さが抜群の「What Doea It Take」はデヴィッド・フォスターのフェンダーとトム・スコットのホーンが光っています。

 その他、「Helpless」「Expressway To Your Heart」「Cast The Sprit」などもロック的な観点から十分にAORしています。

 ラス・バラードは、アメリカのミュージシャンとのセッションで味を占めたのか、このアルバムをきっかけにアメリカのアルバム「VIEW FROM THE GROUND」「YOUR MOVE」などに顔を出し、本領を発揮したような感じを受けます。ちなみに4枚目以降は、AOR色は薄まり、しっかりロックしているアルバムをリリースしています。

 AORミュージシャンを起用し、奇跡的に生まれたAOR名盤「AT THE THIRD STROKE」を是非聴いてみてください。また、そんなアルバムの中の名曲バラード「Treat Her Right」も一度は聴いてみる価値はありますよ。(Night-Plane)

 

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デヴィッド・ラズリー/If I Had My Wish Tonight

 今回のAOR名曲紹介は、ミスターAORの一人と言っても過言ではないAORミュージシャン、デヴィッド・ラズリーです。彼のソロ名義のアルバムの中でもダントツでAOR色が強いのは、やはり1982年にリリースした「MISSIN' TWENTY GRAND」ですが、今回はA面2曲目に収録されていた「If I Had My Wish Tonight」を紹介します。

 彼の音楽的キャリアは古く、10代のころから活動をしていたようです。彼の最大の魅力である美しいファルセットは、ときに優しく、ときには切なく感じます。それだけに女性的な歌詞の曲が非常によく似合うアーティストです。今回の名曲は、一緒になれない男女を女性的な視点で歌った歌ですが、別れの歌とはいえ、決して暗い曲調ではなく、メロディの美しさにより素晴らしい楽曲に仕上がっています。作曲者は、おなじみのランディ・グッドラムとデイヴ・ロギンスです。この曲も、もともとデイヴ・ロギンスのアルバム「DAVID LOGGINS」(1977)に収録されていたもので、デヴィッド・ラズリーのバージョンは、このアルバムからのヒット曲になりました。

 また、数多くの一流ミュージシャンがサポートしているのも、アルバム「MISSIN' TWENTY GRAND」の魅力です。今回の名曲「If I Had My Wish Tonight」では、デヴィッド・ベノワ、マーティ・ウォルッシュ、ボニー・レイット、そしてウィリー・ウィルコックスなどです。その他には、ジェームス・テイラー、アーノルド・マッカラー、ルーサー・ヴァンドロス、ジェリー・ヘイ、チャック・フィンドレー、アニー・ワッツ、ヴィクター・フェルドマン。ストリングス・アレンジに、アリフ・マーディンにニック・デカロと最強です。

 アルバム全体には、ブルーアイドソウル感が漂い、AORアルバムとしても上出来です。決して、都会的な洗練された音楽とは違いますが、モータウンの匂いが感じられる、なんとも言えない良い雰囲気が、またたまりません。

 デヴィッド・ラズリーは、この前にも、グループ「ロージー」名義のアルバムや、数枚のソロアルバムをリリースしていますが、どのアルバムも上質なAORアルバムです。他のアーティストへの楽曲提供も多く、まさにミスターAORと呼べるでしょう。

 これまでにも、多くのAORアーティストを紹介してきましたが、一発屋ではない、常に上質な曲を提供するアーティストとして、絶対にはずせない存在です。そんなデヴィッド・ラズリーの「If I Had My Wish Tonight」を是非聴いてみてください。(Night-Plane)

 

 

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