ラス・バラード/Treat Her Right
今回のAOR名曲は、久しぶりにベタベタなバラードを紹介します。この手のベタなバラードを得意とするのは、イギリスのロックバンド「アージェント」のギタリスト兼ヴォーカルのラス・バラードです。長髪にサングラスで、一見うさんくさく、「みうらじゅん」かと思ってしまうほど、AORとはかけ離れた風貌ですが、その才能はなかなかのもので、ポップセンスは抜群です。
もともとアージェント時代からポップ的なセンスは持っていたようですが、1974年のソロアルバム「RUSS BALLARD」で一気に開花したようです。確かにファーストでは、シャウト的ロックも聴かれますが、今回の名曲を収録したサードアルバム「AT THE THIRD STROKE」(1978)においては、ブリティッシュ・ロックというよりも、完全にアメリカンロックしています。
それもそのはずで、バックを固めているのはAOR御用達のミュージシャンばかりです。今回の名曲に関わっているのは、デヴィッド・フォスター、デヴィッド・ペイチ、デヴィッド・ハンゲイト、トム・ケリー、マイク・ベアードなどの一流の面々で、その他の曲でも、ジェフ・ポーカロ、マイク・ポーカロ、フレッド・タケット、リー・スカラー、トム・スコット、キース・オルセンなどが加わり、よくぞここまで豪華な面々を揃えたと感激するほどです。
更に、楽曲の出来は、どれも素晴らしく、特に「Treat Her Right」は、フラれた男が次の彼氏に、元の彼女を幸せにしてほしいと望むベタなラブソングですが、しみじみとした雰囲気がとても良いです。また、AOR的な渋さが抜群の「What Doea It Take」はデヴィッド・フォスターのフェンダーとトム・スコットのホーンが光っています。
その他、「Helpless」「Expressway To Your Heart」「Cast The Sprit」などもロック的な観点から十分にAORしています。
ラス・バラードは、アメリカのミュージシャンとのセッションで味を占めたのか、このアルバムをきっかけにアメリカのアルバム「VIEW FROM THE GROUND」「YOUR MOVE」などに顔を出し、本領を発揮したような感じを受けます。ちなみに4枚目以降は、AOR色は薄まり、しっかりロックしているアルバムをリリースしています。
AORミュージシャンを起用し、奇跡的に生まれたAOR名盤「AT THE THIRD STROKE」を是非聴いてみてください。また、そんなアルバムの中の名曲バラード「Treat Her Right」も一度は聴いてみる価値はありますよ。(Night-Plane)
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